従来より、特にスマートフォン・タブレットにおいて「製品の小型化」と「大画面化」という相反する2つのニーズがあり、狭小スペースの接着・接合技術はこれらの課題を同時に満たすために発展してきました。現在では民生品に限らず自動車や産機業界においてもベゼルレス・シームレスなデザインへの需要が高く、ここでも狭小スペースの接着・接合技術が活かせます。
一般的に、異種材部品同士の貼り合わせには両面テープや接着剤が広く使われていますが、部品が小さい場合や細い額縁状の場合には、テープと接着剤のどちらが有用でしょうか? このページではそれぞれの製品がもつ特徴を挙げながら、狭スペース環境における両面テープと接着剤を比較してみます。当社では両方の取扱いがございますので、ご興味頂けましたらお気軽にお問合せ下さい。
◆両面テープの特徴
両面粘着テープは、基材の両面に粘着剤を塗工したテープです。両面テープのメリットは、曲面ディスプレイなどの三次元形状への追従性・施工性の良さにあります。特にPPやPEなどに代表される難接着性の樹脂筐体とガラスパネルの貼り合わせ加工には、強粘着の両面テープを推奨します。車載用ディスプレイ周りの不具合事例として散見されるパネルの浮き・剥がれ、ディスプレイからの光漏れ、水の内部侵入など防止する機能を持ち合わせた、高性能粘着テープを取り扱っております。
テープそのものの性能のみならず、製造工程における様々な優位性もテープの特徴といえます。粘着テープの貼り合わせには大掛かりな設備投資が不要ですので、小~中ロットでの量産に向いています。また粘着テープといえばロール状が一般的ですが、当社ではテープの打ち抜き加工も行っておりますので、ご希望の製品形状にて納入いたします。これによって誰でも簡単に施工可能です。また貼り合わせにおけるタクトタイムの短縮という面も粘着テープの長所です。
◆接着剤の特徴
接着剤には材質・硬化条件ごとに様々な種類がありますが、狭額縁接着には「PURホットメルト」という接着剤を推奨します。
一定温度まで加熱することで製品を溶かし、塗布後に冷えて固まることで固着する接着剤を「ホットメルト接着剤」と呼びます。手軽さや硬化速度の速さがホットメルトの長所ですが、一方で再度加熱すると溶けてしまうという弱点もあります。
反応型ホットメルトはこの弱点を補完した製品です。硬化後に空気中の湿気(湿度)と反応することで、接着剤が再び溶融することを防ぎつつ耐熱性・耐寒性を向上させます。反応型ホットメルトは、使い勝手と高耐久性を両立させた高性能接着剤です。
この製品は、ウレタンプレポリマーをベースとした反応型ホットメルトなので「PUR(Poly Urethane Reactive)ホットメルト」と呼びます。
PURホットメルトは狭スペースの接着と相性が良く、多数の市場採用実績があります。
なによりPURホットメルトは、わずかな塗布面積でも強い接着力を発揮します。最小塗布幅は0.2mmとシャープペンの芯よりも細く、接着面積を縮小させることで製品の小型化に寄与します。また貼り合わせた部品同士の接着面だけでなく側面への塗布も可能なため、厚み公差の管理や防水対策にも効果的です。狭額縁化が求められるディスプレイやスマートデバイスに留まらず、あらゆるアプリケーションにおいてデザインの自由度を向上させることができます。
PURホットメルトは製造工程においてもメリットを提示できます。
短時間で高い接着力を発現しつつも、硬化後のリワークが容易です。接着剤の可使時間が経過した後でも、部品を壊すことなく分解することが可能です。また製造プロセスの自動化・ラインの省人化・材料ロス低減という点についても、接着剤が市場で評価されているポイントのひとつでもあります。当社では自動塗布装置についても販売を行っており、接着剤ごとに最適な塗布装置をご紹介いたします。
◆まとめ
狭小スペースの接着・接合ニーズにおける、両面テープと接着剤のメリットをまとめると以下のようになります。それぞれに長所があり、ご使用用途や量産数量・保有設備に応じた使い分けが必要ですが、当社へご相談頂ければお客様に合わせた最適なソリューションを提案いたします。テープ・接着剤いずれも長年の取扱い実績がある東和電気へ、ぜひお問合せください。
両面テープ | 接着剤 | |
狭小スペースの 接着における 材料別メリット
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曲面への追従性
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最小0.2mmの接着幅
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